館林市H様邸「スペースを有効活用した庭」
「狭い土地で、どう使い勝手の良い庭を造れるのか?」
お客様からの切実なご相談。現場はセットバックが必要な厳しい条件。しかし、職人の知恵と計算があれば、どんなスペースでも生まれ変わります。
これは、限られた空間を最大限に活かしきった、技術と工夫の記録です。
難題:セットバックと限られたスペース
いざ現場を見ると、確かにスペースに限りがあります。さらに道路に面した部分は「50cmのセットバック」が必要。 広い土地での50cmとはわけが違います。この50cmが設計を大きく左右するのです。
お客様の要望を元に、ギリギリの寸法を叩き出し設計。 段取りの都合上、あらかじめ吉日にスコップを一刺しして着工の儀を行いました。
工事開始:掘削と基礎作り
現場乗り込み当日はあいにくの雨。重機の運搬のみ行い、翌日から本格始動です。
晴天の下、掘削、枠組み、配筋を一気に進めます。続いてブロック積みも開始。 スペースを有効に使うための骨格が出来上がっていきます。
アプローチ:御影石の重厚感
ブロックを積み上げたら、アプローチの石張り作業へ。 今回使用するのは御影石の厚物。重厚感がありますが、カット作業は一苦労です(汗)。
植栽:癒やしの空間を演出
アプローチが仕上がったら、いよいよ植栽です。 門周りにはシマトネリコを中心に、ヒイラギナンテン、シャクナゲなどを配置。 限られたスペースでも、緑があるだけで空間の豊かさが全く違います。
左側には美しい樹形のアオハダを植栽。これで門周りは完成です!
職人の計算:命がけの「勾配」
そして今回の工事の最重要ポイント。脳みそをフル回転させて導き出した「駐車スペースの勾配」です。
元々はテラス下の土間コンまで土が盛られ、急勾配でした。 その勾配を解消しつつ、セットバックで狭くなったスペースを有効活用しなければなりません。 さらに、側溝がないため道路に水が溜まらないよう、右側は縁石で嵩上げ処理。
「もっと緩やかにすればいいじゃん!」と思われるかもしれませんが、この勾配には深い理由があるのです。 それは完成後の写真で明らかになります。
仕上げと完成
1週間の養生期間を経て、仕上げの砂利入れ。 いよいよ全ての作業が完了しました。
計算の答え合わせ:「助手席は開くのか?」
完成した全景です。あまり広くない敷地ですが、植栽スペースを確保し、アプローチも可能な限り長く取りました。 そして、あの計算した勾配の答えですが……
ここで最大の疑問。「車をブロックギリギリに停めたとき、助手席のドアは開くのか?」
これこそが、私が頭を悩ませて計算した理由です。
最大限勾配を緩やかにしつつ、ドアが地面やブロックに干渉しない絶妙なライン。
バッチリ計算通り、助手席は開きます!
職人の想い
セットバックで道幅が狭く、並べた縁石を壊されたり、コンクリート打設後に車に乗られないかヒヤヒヤしたりと、苦労も多い現場でした。 しかし、最終的にはバッチリ仕上げることができました。
久々に伺うと土間の上はタイヤで真っ黒でしたが(笑)、これは生活に馴染んでいる証拠。 どんなスペースでも、作り方次第で劇的に変わります。私自身、とても勉強になるお庭でした。
H様、美味しいコーヒーやお茶、本当にありがとうございました。 色々ありましたが、最後はH様の日頃の行いの良さでバッチリ決まりましたね! 完成からが本当のお付き合いです。末永くよろしくお願い申し上げます。
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