参道改修と雨水対策。
「心花の里」再生ドキュメント
歴史ある境内を、未来へ繋ぐ
栃木県佐野市にある報恩寺様。自然豊かで、弊社からも1時間足らずの距離ですが、全く空気感が違う清々しい場所です。
昨年手がけさせて頂いた第一期工事(境内全体の整備)に続き、今回は第二期工事として「本堂前の参道改修」をご依頼頂きました。
テーマは「足の悪い方にも優しい参道」と、昨今増えている「ゲリラ豪雨対策」です。
1. 現状の課題と計画
本堂の大きな屋根には雨樋がついていません。
そのため、ゲリラ豪雨の際には滝のように雨水が流れ落ち、境内の砂利をじゃんじゃん流してしまいます。
雰囲気作りはもちろんですが、まずはこの問題点を解決していきます。


歴史あるお寺の雰囲気を壊さず、機能性を高めるのが我々の仕事です。
2. 参道下地工事:排水の動線を確保する
まずは現在敷いてある砂利を綺麗に鋤き取ります。この砂利は後で違う場所に使用します。
細かい砂利を剥がしたら、下地作りです。


下地にはRC(リサイクル砕石)を入れてガッチリと転圧。
RCは締まりが良く、かつ排水性が抜群なので下地に最適です。


下地ができたら御影石の縁石を使って縁取りをしていきます。
3. 豪雨対策:U字構と「職人のひと工夫」
ここが今回の肝。ゲリラ豪雨を受け止めるためのU字構を設置してまいります。
参道を流れる雨をここで受け止め、排水へと繋げます。


それでは本来の機能が損なわれます。
そこで一工夫。ステンレスの金網を張って、落ち葉や砂利の侵入を防ぎます。
これでメンテナンスも楽になり、機能も長持ちします。


4. 御影石の参道:安全と美観
参道部分にコンクリートを流し、下地を作ります。


養生期間の間に、御影石の切断加工。
一般住宅ではゴツゴツした「のみ切り」仕上げを使うことが多いですが、今回は歩きやすさを優先し、スッキリとした「バーナー仕上げ」をチョイス。
表面がザラザラしているので、雨の日でも滑りにくいのが特徴です。
固まったコンクリートに接着剤を塗り、一枚一枚丁寧に貼り付けていきます。


きっちりと張り終えたら、目地を詰めて完成!
歩きやすく、豪華な参道に変身しました。


せっかくなので既存の御影石も洗浄し、抜けてしまった目地を補修。
新旧の石が綺麗に調和しました。


5. 植栽:台杉とサツキの共演
お次の作業は飾り付けの植栽。
まずはガッチガチの土を搬出し、フカフカな良質土に入れ替えて生育環境を整えます。


今回住職さんと相談し、植栽に選んだのは「台杉(北山杉)」。
落ち葉もなくスッキリした形状で、本堂を隠すことなく引き立ててくれる、寺院にはもってこいの樹木です。


台杉の足回りを固めるのは、那須から産地直送で届いた大量のサツキ。
地を這う苔のように曲線を描きながら植え込み、刈り込んでいきます。


サツキを植えることで、元々あったけれど目立たなかった景石たちが、一気に存在感を増しました。
6. 景観仕上げ:鉄平石と錆砂利
続いては、大量の「諏訪鉄平石」の据え付け。
雨水を前後に分けるよう、微妙な高低差を考えながら据え付けていきます。




据え付けが終わったら、周囲に防草シートを隈無く張ります。
これは雑草対策であると同時に、雨水対策でもあります。
雨水がシートの上を流れていくので、土をえぐることがなくなります。
アクセントの「地こぶ(築山)」。景石と玉竜で感じよく仕上げました。
そして最後のお楽しみ、砂利敷き。
和風にピッタリの「錆砂利」の5分(少し大きめ)を使用し、雨で流されにくいように配慮しました。
大量の砂利を敷いて、ホースで汚れを洗い流すと…雰囲気が一変!
この色の変化を見るのが庭造りの楽しみです。


本堂向かって左側の狭いスペースも、同様に鉄平石を搬入・据付。
最後に石のテーブルを設置して完成です!






完成:心花の里
伸びやかな曲線を描く鉄平石のアプローチが絵になります。
本堂正面も御影石と錆砂利のお陰で、明るく、荘厳な雰囲気になりました。


背景の竹林とも相まって、自然豊かな報恩寺様の本堂前が完成いたしました。
雨の日も、晴れの日も、心安らぐ空間となりました。

