計画の意図|更地から「家と庭」を同時に考える
風致地区・盆栽町の景観に馴染むことを最優先に、前庭・中庭・裏庭の三部構成で設計。建物が建った後では搬入できない石や植栽があるため、工程も含めて先回りして計画しました。
「着工前」
本当に何にも無い更地(^^;)
この状態での設計は結構難しい・・・

奥へと長い敷地。
ココをどう面白くするかは腕の見せ所です!!

数度のプランニングを経てご契約頂きました。
記念すべき地鎮祭にお招き頂き工事の安全祈願を行いました。

工程①|建物より先に「裏庭」を造る(先行施工)
横幅いっぱいに建物が建つ計画のため、完成後に重い材料を運び込むのは困難。そこで、建物施工前のタイミングを活かして裏庭から先に造り込み、後工程で困らない段取りを整えました。
今回の工事のトップバッターは建物ではなく庭から(^^)
この白く引っ張ってある地縄が建物。
横幅一杯に建物が建つため先行して裏庭部分を施工致します!!
12月中旬
裏庭造りスタートです!!

邪魔者が何も無い所に庭を造っていきます!!
とてもやりやすい状況なんですが・・・何だか変な感じ(^^;)

何はともあれめい一杯に積み込んで来た材料を使い造形していきます。
置き場から遠く離れた現場にこの量を積んで行くのは・・・
何気に結構ドキドキです(^^;)

今回はユンボを持って来ていないため手掘りで作業は進みます!!
って・・・
掘っているのはT様邸のご主人!!
これから色々と工事に参加して頂きます(^^)

地縄と図面を見て窓の位置などを確認しながら目隠しや雰囲気を考慮して植栽。
旦那さんのお手伝いもあり第一弾は無事に完成!!
建物が完成する春先にここも仕上げていきます。

これだけ大きな建物が建つのですから・・・
先行工事でないと石はおろか植木も入れられません(~~)
先行工事で良かった!!

計画の意図|窓からの見え方を「現場で」詰める
図面上で狙っていても、実際の窓高さ・視線・距離感は現場で最終確認が必要。建物が立ち上がる前後のタイミングで、目隠しと抜け感のバランスを再チェックしました。
年が明け水やりを兼ねて現場の確認。
基礎の型枠を組んでいる最中でした。
地縄の状態よりもっとデカく見える・・・
造った裏庭があっちの方です(^^;)

この時点ならまだ移動は出来るので、もう一度窓位置や目隠しをチェック!!
絶対に大丈夫!!と確信は持っておりましたが、実際に建ってみない解らない部分もあります。

工程②|建前後に「庭の配置」を確定させる
建物が形になると、庭の距離感や視線の抜けが一気に現実になります。裏庭の配置が狙い通りか、窓からの見え方と動線を確認し、次の中庭・前庭へ繋げていきます。
そして建前!!
今回の建物はトヨタホームのユニット式です。
どう造られて行くのかとても興味があるのと、位置確認の為お邪魔致しました。
現場に着くと50tのラフター!!?
家建てるのに50tが入るのは初めて見ました(^^;)

トラックで運ばれてくるユニットは、中の部材が殆ど付いており、キッチンなどは・・・
もうIHや流しも全て取り付け完了状態!!

それが空高飛んで行き!!

パカっとはまって行く姿は圧巻でした!!

肝心の裏庭の配置もちゃんと窓から確認させて頂き一安心(^^)
バッチリ狙い通りの位置にありました!!

そしてしばし内装の仕上げなど・・・

計画の意図|前庭・中庭・裏庭で「暮らしの場面」を分ける
町並みに馴染ませつつ、使いやすさも落とさないために三部構成で計画。玄関まわりの印象、家の中心で楽しむ中庭、落ち着く裏庭…それぞれに役割を持たせ、植栽(枝垂れ梅)も季節の主役として組み込みました。
今回の庭は「前庭」「中庭」「裏庭」の三部構成。
その中庭部分には奥様のご要望であります「枝垂れ梅」が入ります。
しかし枝垂れ梅などの季節の花木は市場でも花の咲くちょっと前~花が咲く頃までしか流通致しません。
その為時期に仕入れておき、置き場に仮植する事に。

残念な事に花後の施工となるため置き場にて満開を迎えてしまいました。
お陰様で華やかな置き場になり良いお花見が出来ちゃいました(^^)

枝垂れ梅の花が終わった頃
いよいよ着工です!!
表から見るとそんな大きな建物には見えないけど、横から見ると凄く大きな建物。
そしてこのお宅はこの表の玄関脇を・・

抜けて行くと・・・

工程③|第2玄関の動線づくり(階段・平板・設計変更)
現場で発覚した「階段が無い」問題に対し、予算内で納めつつ質を上げる方法を検討。アプローチと素材を揃えた御影石の階段で統一感を出し、周辺の設計も合わせて最適化しました。
中庭部分にもう一つ第2の玄関があります。
でもこの時気づいた事が・・・
この高さなのに・・・
階段が無い??
ん!?ハウスメーカーが造り忘れたのか??
と、思いお客様に確認すると・・・
コチラで造って欲しいとの事。
でもお見積もりに入っていない工事なので、なるべく安く出来る方法を考えます!!

階段部分を考えながらも工事のスタート!!
まずは昨年末に造った「裏庭」部分に使うサツキの仕入れ。

市場でサツキを積み込み道具と一緒に現場へ

砂埃が舞わないように敷いておいといた防草シートを剥がし


サツキを植栽!!

石が柔ら味を出して庭に厚みが増しました!!

それをビシッと刈り込み砂利入れスタート!!

ここで綺麗に咲き誇っているツツジは「カネコゲンカイツツジ」
と言うシャクナゲ系統の半常緑のツツジです。
裏庭部分をパーっと明るく演出してくれます。

そして急遽造る事になった階段部分。
色々考えた末アプローチに使用する御影石で階段も造る事に決定!!
それに合わせこの付近一帯の設計変更をお客様に進言。
設計より良くなる事を伝え金額もそのままで了解を頂きました(^^)

掘削を開始して下地の砕石を入れガッチリと転圧。

丁度この頃モミジの芽吹き。
何とも可愛らしい葉で造りながら癒されます(^^)

砂利を入れ終わり、建物内からの見え方チェック!!
この季節はこのカネコ玄海が主役ですね!!

そしていよいよ登場!!
満開を終え葉が出始めた「枝垂れ梅」
来年からはこの場所で綺麗に花を咲かせます。

枝垂れ梅の位置を決めいよいよ階段造りのスタート!!

ココでもご主人の登場!!
キッチリとした仕事で安心してお任せ出来ちゃいます(^^)

御影石の縁石の中には同じく御影石の平板を入れました。
アプローチからの繋がりと豪華な感じを出して第2の玄関を主張。

一段一段を12cmの高さに抑えてお子さんやお年寄りの方でも歩きやすいようにしました。

階段から表の玄関に向けて平板の敷設。
小さいサイズの御影石ですが重さはやっぱ「石」です(^^;)

同時に植栽もスタート!!
まずはシンボルツリーとなる「ヒメシャラ」

5mを超える大きな木でこの一本だけでも場の雰囲気を変えてしまう存在です。

ブロックの基礎も作りソヨゴも植栽!!

基礎の養生期間を終え早速ブロック積み!!
今回積んでいるブロックはマチダコーポレーションの「ワイルドストーン」
ランダムであまりブロックに見えないブロック(笑)
道行く人が不思議そうに触って行く位(^^;)
そして左側にあるパレットが今回アプローチに使用する材料。

工程④|アプローチ乱張り(仮置き→貼り付け)
黒御影石は全て面取り加工で切断を減らせる一方、割付は“終わりのないパズル”。材料を多めに用意し、仮置きで全体の流れを作ってから貼り付けることで、自然なリズムと歩きやすさを両立しました。
今回アプローチの乱張りはお客様と一緒の施工となります!!
と言うよりお客様主体の施工(^^)
まずはパレットの中から石を出して・・・

この石は黒御影石で全て面取り加工がしてあるため切断ナシで施工します。
ただ切断しないで合わせて行くのは果てしないパズルの様です。
その為3倍近くの材料を用意してご夫婦で仮置きして頂きました。

この作業は見た目では軽い作業に見えますが・・・
この石は一枚一枚が厚くかなり重たいです。
それを合わせては外しの繰り返し。地味ですがかなり根気と体力を使う作業です。
しかし、ご夫婦を中心にウチのスタッフが一部お手伝いをし・・・
暗くなる頃には仮置きの完成!!

翌日腰の痛みを抱えながらも一緒に貼り付け!!
この作業に於いても丁寧な仕事っぷりが生きています。

仮置きで外された材料の奥では家庭菜園部分に枕木を設置。

良質の土を入れて扱いやすい畑に!!

今回お客様に色々と工事に参加して頂いておりますが・・・
工事代金を安くする為とかでは無くお客様ご自身が「やってみたい」
との事で参加して頂いております。
ですがT様ご夫婦の丁寧な仕事っぷりには本当に助かっております。
そのお気持ちに少しでもお応えしたいと思い・・・
プランには入っていないですが色々な物をサービスさせて頂きました!!
その中の一つこの模様の綺麗な大きな川石。

これを設置してアプローチ脇を豪華に!!

サツキも添えて

アプローチの完成!!
T様本当にお疲れ様でした!!

そして最後の高木類の運搬!!

現場に到着し早速植え込んでいきます!!

最後に植栽するのは・・・
門周りを優しく演出する「ハウチワカエデ」
固い感じのブロックを柔らかな雰囲気に変えてくれます!!

だいぶ全体的な雰囲気が出て来ました!!

平行して駐車場部分の掘削及び砕石転圧もスタート!!

現場が遠い為ウチの方に運ぶ事が出来ずお客様にご苦労頂き
ハウスメーカーさんの使っている処分場を紹介して頂きました!!

高さをビシッと決めて砕石もガッチリと転圧。

かなりの台数の残土を出してようやく砕石も入れ終わりました!!

前庭では芝張りが完成!!
一気に雰囲気が明るく変わりました!!

玄関脇から第2玄関への通路も緑溢れる雰囲気に!!

そして駐車スペースの土間コンの準備。
一発で全部打ってしまいたい所ですが・・・
お客様が家に入れません(汗;)
なので二回に分けて打設。

生コンをネコ押しして・・・

おなじみの山田さんには無理言って前橋から出張してもらいました(^^)

そしてビシッと完成!!

綺麗に刈り込んでおいたサツキが一斉に芽吹き始め
とても良い感じになって来ました!!

気温も上がり植木達も一番水を欲しがるこの季節。
タップリと潅水します!!

植木のみならず石も水を含み何だか嬉しそう!!

そしてコチラの通路の奥には!!

計画の意図|景観に馴染む「隠しすぎない目隠し」
風致地区では、囲い込み過ぎると景観から浮いてしまいます。高さを抑えた建仁寺垣で“抜け”を残しつつ、必要な視線だけをコントロール。町並みとの調和と、防犯性のバランスを狙いました。
晒し竹で建仁寺垣を作っております。
高さはお隣さんとの隔たりにならないように瓦の高さに設定。
実はこの竹垣。竹垣として見る様に作った訳ではありません。
高さを低くしたことにもこの地域ならではの意味があります。
それはこの先のお楽しみです(^^)
竹垣自体は棕櫚縄結束をして完成です。

そして枝垂れ梅の下には水鉢を設置し水音を楽しめるようにしました。
雰囲気作りの為形式は崩してありますがとても良い感じ(^^)
後は灯篭に障子をはめて完成です!!
この場所はコチラからだけではなく玄関からも見える様になっているので
完成時にアップ致します!!

水の滴る音はこの閑静な住宅街にはぴったり!!
とても癒されます(^^)

工程⑤|外構の仕上げ(休工→再開→土間コンクリート)
カーポート工程や天候に左右されるのが外構のリアル。動線を止めないよう打設は二回に分け、梅雨明けの高温期は左官品質を守る段取りで進めました。
これで庭部分が完成し、残りは土間コン等の作業ですが・・・
カーポート屋さんの工事が遅れているため取り敢えず「休工」となります。




はい!お待たせしました
ようやくカーポートも取り付けられ・・・

下地も造り、いよいよ生コン打設か!!
と、気合いを入れていたのですが・・・
天気予報に阻まれ(泣)
結局続きは梅雨明け。

やっとの思いで打設開始!!

さすがに梅雨明け・・・
超暑い!!
左官の山田さんも悲鳴です(^^;)

でもさすが!!ビシッとした仕上がり!!

工程⑥|沓脱ぎ石の搬入・据付(狭所を抜ける難工事)
後工程で追加になった大判石は、運び入れが最大の難所。竹垣の隙間・90度の曲がり・砂利上のルート変更を、レールとコロ+段取りで突破し、無事故で据え付けました。
この大きな沓脱ぎ石の設置!!
最初から予定していれば難なく収める事の出来る代物ですが・・・
後口になってしまい最後の最後・・・
T様邸の一番奥まで運び入れます。
今回もご主人のサポートをお願いし、奥様にはカメラマンをお願いしました(^^)
まずはクレーンで行ける所まで行って・・・

後はひたすら人力!!
そこで立ちはだかる第1関門!!
この狭い竹垣の隙間をすり抜けて行かなくてはなりません(^^;)
試行錯誤・・・冷や汗をかきながら何とか通過!!

続いて第二関門!!
ここの90度・・・
上手く建物や周囲の物を傷つけないよう色々と考え・・・
結局・・・力ずく(^^;)

砂利の上なのでレールとコロを使っているのですが・・・
この路線変更は結構キツイです(^^;)

それでも何とか無事に裏庭到着!!
奥様が撮影した奇跡のショット。
このご主人の顔が全てを物語っております(^^)

ココで今度は逆向きになっている状態を180度回転!!
真ん中に角材を挟みグルっと回転。
案外スルッと回転しみんなで感動(笑)
ココまで来ればもう勝負アリ!!

無事所定の場所に設置!!

撮影用に下駄(^^)

あんなに苦労したのに・・・
最初からずっとココにあったような顔をしております(^^;)
でも怪我も事故も無く無事に据え付ける事が出来て良かった!!
T様最後の最後までお疲れ様でした!!

思い返せばココの裏庭を造ったのは去年の12月。
あっという間に半年以上経ってしまいました。
完成|町並みに溶け込み、暮らしに寄り添う庭へ
三部構成の庭が整うことで、玄関まわりの印象・家の中心の居場所・奥の落ち着きが一本の動線で繋がりました。植栽が育つほどに“完成度が上がる庭”として、四季とともに馴染んでいきます。
これから先ずっとT様邸にとってかけがえのない庭になって行くよう祈っております!!

そしてまた訪れた春!!
 









将来性|時間とともに深みが増す「育つ庭」
植栽は季節で表情が変わり、枝ぶりが整うほど景観に馴染みます。中庭の主役(枝垂れ梅)や生垣、足元の下草が育つことで、数年後に“完成形”へ近づく設計です。
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