有限会社田熊造園土木 群馬県千代田町

「庭が泣いている」排水不良からの再生。

太田市K様邸。当初の庭は、雨が降るたびに水が溜まり、泥濘(ぬかる)んでしまう状態でした。自然排水の枡も機能せず、庭を楽しむどころかストレスの原因に。

「このままではいけない」。
私たちは表面的な化粧直しではなく、地面の下、つまり「造成」からの根本改革を決意しました。
目指したのは、水はけの良い快適な庭。そして、かつての「水たまり」の記憶を、美しい「水鉢の景色」へと昇華させる、逆転の発想です。

[Image of soil drainage system]
施工前の水たまり 雨上がりでもないのに溜まる水。これが現実でした。
機能していない排水枡 浮き上がってしまい、役目を果たしていない枡。

1. 土台の再構築:良質な赤土で地盤を造る

まずは土の入れ替えから。薮塚産の良質な赤土を大型ダンプでたっぷりと搬入し、勾配を取り直して地盤を造り直しました。
同時に、お客様の生活動線には砕石を敷き込み、工事中でも車が汚れないよう配慮。見えない基礎工事こそ、一切の手抜きは許されません。

赤土の搬入 新しい庭の命となる、新鮮な土。
砕石による養生 生活を守るための下準備。
整地作業 平らに、そして水が流れるように。
建物裏の砂利敷き 裏側もぬからないよう即座に対処。

2. 境界の美学:生け垣でつくる緑の壁

前の畑との境界には、レッドロビン(西洋カナメ)の生け垣を計画。支柱を立て、等間隔に植栽していきます。
年に2回、燃えるような赤い新芽を見せてくれるこの木は、目隠しでありながら、季節を告げる時計でもあります。

支柱の設置 真っ直ぐに、美しく。
レッドロビンの植栽 これから壁となり、庭を守ってくれる。

3. 主役の登場:シンボルツリー「アオダモ」

庭の空気を決定づけるシンボルツリーには、株立ちの美しい「アオダモ」を選びました。野球のバットの材料としても知られる、強くてしなやかな木です。
12月の千代田町。イチョウ並木が色づく中、大切な木を傷めないよう「枝折り(しおり)」をして搬入。植えた瞬間、庭に一本の芯が通りました。

アオダモの搬入 この存在感。庭の主役にふさわしい。
枝折り(養生) 運搬中も枝を守るプロの技。
満載のトラック 他にもたくさんの植木を載せて。
植え込み完了 場が一気に引き締まる瞬間。

4. 難所との戦い:頭上の電線と鳥海石

庭に重厚感を与える「鳥海石」の据え付け。しかし、クレーンの真上には電線が走っています。
少しの操作ミスも許されない状況。遠目から電線との距離を睨み、ミリ単位の操作で石を降ろしていきます。安全第一、しかし妥協はしない。緊張感漂う現場です。

鳥海石の搬入 一つ一つ表情の違う自然石。
上空の電線 最大の障害物。慎重に回避する。
石の据え付け 最も美しく見える「顔」を探して据える。
石組の完了 落葉期でも様になる、石の力。

5. 冬のナイター工事:寒さを熱意に変えて

12月の日暮れは早い。16時にはもう薄暗くなります。しかし、現場は止まりません。
東電さんの許可を得て電柱から電源を借り、投光器とハロゲンライトをセット。闇の中に浮かび上がる庭は、昼間とは違う幻想的な表情を見せます。遅く帰宅されるご主人にも、進捗を楽しんでいただける「演出」となりました。

夕暮れの現場 時間との戦い。
投光器の設置 現場を照らす希望の光。
ハロゲンライト 細部まで照らし出し、手元を狂わせない。
夜間作業 寒さを忘れるほどの集中力。

6. 駐車スペースとアプローチ:御影石の境界線

駐車場となるスペースを掘削し、砕石で固めます。庭との境界には御影石の見切りを設置。
最終的には5cmほどしか見えなくなるこの石が、空間をビシッと引き締め、「豪華さ」を演出する名脇役となります。

御影石の見切り この直線が、庭の品格を決める。
埋設後の見え方 見えなくなる部分にこそ、本物を使う。
台杉の植栽 玄関からの光に映える立ち姿。
アプローチの植栽 優しい緑が、家へと誘う。

7. 門柱の基礎:家の顔を支える13mmの鉄筋

門柱は倒れてはならない家の顔。ガッチリとした基礎に13mmの鉄筋を組み込み、頑丈に造り上げます。
一方、庭の仕上げにはサツキを植栽。高低差や玉の大きさを計算し、リズム感のある緑の波を作ります。

門柱基礎の掘削 深く、広く。
鉄筋配筋 絶対の安心感をここに埋め込む。
サツキの植え込み 丁寧な手仕事が、美しい曲線を生む。
サツキの完成形 一本一本、心を込めて。

8. 心の交流:イラスト付きの差し入れ

工事中、K様から毎日飲み物やお菓子を頂きました。その袋には、可愛らしい手描きのイラストが。
「ありがとうございます」。その一言とイラストが、凍える現場でどれほど私たちの心を温め、力になったことか。作り手として、これ以上の喜びはありません。

心のこもった差し入れ このイラストが、私たちの燃料でした。
生け垣の結束 感謝を込めて、美しく仕上げる。

9. 逆転の発想:高すぎるポーチを「段差」で魅せる

玄関ポーチの高さが設計より10cm高いことが判明。フラットにする予定でしたが、急遽1段の階段を設ける設計に変更。
結果として、この段差がアプローチに立体感と豪華さを与えることに。「困った」を「良かった」に変える、現場の対応力が光りました。

高さのズレ この段差、どうする?
追加された階段 逆に豪華になった!怪我の功名。
直線のライン出し ここから美しいアプローチが始まる。
御影石のカット 現場で合わせ、精密にカット。

10. 素材の競演:御影石と諏訪鉄平石

直線的な御影石と、乱張りの諏訪鉄平石。異なる二つの石を組み合わせ、アプローチに変化を持たせます。
特に鉄平石のアール(曲線)部分は、仮置きを繰り返し、揺れが出ないようガッチリと突き込みます。最後に市場で競り落とした貴重な石材も投入!

鉄平石のアール 直線と曲線の融合。
突き込み作業 石が動かないよう、魂を込めて叩く。
市場での競り落とし 最後のピースを求めて市場へ。意地でゲット!
洗い出し 水をかけると、石が本来の色を現す。

11. 庭のハイライト:「水面に浮かぶ四季」の仕掛け

玄関先の窓を活かすために設置した、自然石の水鉢。
ここに季節の花(寒椿など)やモミジを浮かべることで、水面がキャンバスになります。かつて水たまりに悩んだ庭が、今、「水を愛でる庭」へと生まれ変わりました。

水鉢の設置 庭のへそ。ここから四季が広がる。
水に浮かぶ寒椿 水鏡に映る季節。これぞ風流。
御影石の一文字 アールをビシッと引き締める直線。
完成したアプローチ 思わず歩きたくなる道へ。

12. 最後の仕上げ:冬用強度の土間コンクリート

駐車場の土間は、寒さ対策として強度を上げた生コンを使用。
ご要望の「横付けスペース」や「ショートカットの小道」も盛り込み、使い勝手を向上させました。鉄平石の沓脱ぎ石も据え、すべてのピースが揃いました。

生コン打設 冬仕様のハイ強度コンクリート。
左官仕上げ 名工・山田さんの手で美しく。
鉄平石の沓脱ぎ アプローチと素材を合わせて統一感を。
ショートカットの小道 近道も美しく。銀鉄平のアクセント。

完 成:雨の日も愛せる、四季の庭

泥濘(ぬかるみ)に悩まされた日々はもう過去のこと。
窓を開ければ、アオダモの優しい緑と、水鉢の静かな水面が迎えてくれます。
春の新緑、夏の木陰、秋の紅葉、冬の静寂。全てが絵になる庭が完成しました。

~ View from Inside ~

家の中から見る景色こそ、庭の真骨頂。クリスマスイブの夜、ライトアップされたアオダモは、どんなツリーよりも美しく輝いていました。

雨の日の眺め 雨に濡れた石の美しさを知る贅沢。
リビングからの眺め デッキ越しに見るアオダモの安らぎ。
和室からの眺め 落ち着いた和の風情を切り取る。

~ Spring has come ~

そして春。新緑が爆発し、庭は全く新しい表情を見せてくれました。

春の全景 緑が萌え、つい奥まで歩きたくなる。
馴染むカーポート 緑が入ることで、構造物が景色に溶け込む。
花咲くアプローチ シャクナゲ、ツツジ、沈丁花。春の競演。
インターホン越しの緑 来訪者を待つ時間も、癒やしのひとときに。
アオダモの木陰 そよそよと風に揺れる音。涼を感じる。
木陰のベンチ石 草取りの合間に一休み。
水鉢のアップ タイトル回収。「水面に浮かぶ四季」。
地窓からの水鉢 低い視線で楽しむ、和の極意。

K様、毎日の温かいお心遣い、本当にありがとうございました。
美味しいお昼ごはん、ご馳走様でした!
これからもこの庭が、K様ご家族の四季を彩り続けることを願っております。

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