純和風の「大人の隠れ家」。
変形地を逆手にとり、深みのある景観へ
「三角形の土地」と「純和風」の融合。
鴻巣市I様邸。現代では少なくなった、重厚感あふれる純和風建築。
この建物の格を損なわず、むしろ引き立てる庭を作るにはどうすべきか。敷地は奥に行くほど細くなる「台形(三角形)」。さらに道路との高低差もあります。
テーマは「大人の隠れ家」。
使いにくいとされる変形地を逆手にとり、視線を奥へと誘導することで、実際の面積以上の「奥行き」を演出。お父様から受け継いだカーポートの再生、施主様入魂のDIYフェンス。関わる全ての人の想いを乗せ、重厚な和の庭が完成しました。
圧倒的な存在感。この建物に負けない外構を。
この「狭まり」を、奥行きの演出に変える。
1. 難所への挑戦:既存カーポートの移設再生
最初の難関は、三角形の鋭角部分へのカーポート設置。しかも、使用するのは施主様のお父様が大切に保管されていた、サイズが決まっている大型カーポートです。
CAD上で何度もシミュレーションを重ねましたが、計算上はギリギリ。現場での加工も覚悟して臨みましたが、職人の技術と金物屋さんの協力で、なんと「無加工」で奇跡のジャストフィットを実現しました。
ここが最大の難所。
ミリ単位の調整が求められる。
奇跡の納まり。屋根もブロックも交わした職人技。
外周を固め、敷地の輪郭を整える。
2. 動線と遊び場:御影石と芝生のアプローチ
カーポートから玄関へと続くアプローチには、和風建築に合う御影石を敷設。
その脇には、お子様が安心して遊べる芝生スペースを設けました。無駄になりがちな三角地を、駐車場と庭として最大限有効活用する設計です。
歩きやすく、品のある動線。
気を使わず3台停められる配置を実現。
3. 共創の庭:施主様入魂のDIYフェンス
庭づくりは、私たち職人だけのものではありません。今回、ウッドフェンスの製作は施主様とお父様が担当されました。
支柱には最強木材「ウリン」、横板には「レッドシダー」を使用。さらに基礎にはボイド管を使い、強度を確保。プロ顔負けの仕様と仕上がりに、私たちも刺激を受けました。
プロ顔負けの出来栄え!
隣地への配慮も完璧。波板で縁切り。
強度へのこだわり。脱帽です。
残土を搬出し、庭づくりの舞台が整う。
4. 庭の主役:黒松と石組の重厚感
ここからは本職の出番です。純和風の庭に欠かせない「石」と「松」。
庭の王様である「黒松」を中心に、アオハダやソヨゴなどの雑木を配置。石組みで骨格を作り、植物で彩りを加えることで、重厚感の中に安らぎのある景色を作り出しました。
選び抜かれた石材を搬入。
2台体制で挑む。
石の顔を見極め、据えていく。
庭の主役、到着。
一本入るだけで空気が変わる。
小作りだが、風格十分。
アオハダ、ソヨゴで柔らかさをプラス。
5. こだわりの素材:伊予の青石と木曽石の小道
素材選びにも妥協はありません。沓脱ぎ石には、青みと模様が美しい四国の「伊予石」を採用。濡れると一層深みが増します。
リビング前の三角スペースには「木曽石」を使って小道を造作。ただの目隠しスペースではなく、眺めて楽しい「景色」へと変えました。
濡れた時の表情がたまらない。
建物との相性も抜群。
「基礎石」ではありません。「木曽石」です。
変化をつけるための重要なパーツ。
三角地が生まれ変わる。
新緑と紅葉のメインキャスト。
6. 門まわり:左官仕上げと御影石の階段
家の顔である門まわり。ブロック積みで基礎を作り、御影石で階段を造成。仕上げは左官職人の山田さんによる塗装で、建物と一体化させました。
さらに、市場で競り落としたアプローチ用の石材を、パズルのように組み合わせていきます。
骨組みを作る。
重厚な足元。
職人のコテさばきが光る。
建物と同色で統一感を。
ライバル多数。でも負けません。
戦利品を丁寧に据え付ける。
何度も組み替え、ベストを探る。
ガタつきゼロ。歩くのが楽しくなる道。
7. 仕上げ:細部へのこだわりが品格を生む
土間コンクリートは、車を少し横付けできるスペースを確保するよう設計。鉄筋を細部まで組み、強度を高めます。
門柱には京伏間瓦を乗せ、内側にも砂利と下草を。四つ目垣の内側も整地して転圧。見えないところ、細かいところへのこだわりが、全体の品格を底上げします。
ご要望の「横付けスペース」を確保。
隅々まで鉄筋を入れる。
今回も山田さんがビシッと仕上げ。
瓦が乗ると締まる。
足元の彩り。
これだけで仕上がりが段違い。
完 成:奥行きのある、大人の隠れ家
奥に行くほど細くなる敷地を活かし、吸い込まれるような奥行きを実現しました。
黒松の風格、雑木の優しさ、そして石の重厚感。
玄関脇には水鉢と六方石を添え、訪れる人を季節の花で迎えます。
純和風建築と調和する、堂々たる佇まい。
視線が奥へと誘導される。
建物と一体化したデザイン。
石の白さと植物の緑。
力強い石の表情。
手作りのフェンスが温かみを添える。
眺めるための庭。
遊び心のあるディテール。
水鉢と六方石。小さな宇宙。
水面に花を浮かべて楽しむ。
~ Future Season ~
庭は育ちます。新芽が出揃い、紅葉が色づく頃、この庭はさらに深みを増していくでしょう。
鮮やかな緑が溢れる。
生命力を感じる瞬間。
木漏れ日が美しい。
落ち着きのある空間。
I様、美味しいお昼ご飯までご馳走になり、本当にありがとうございました!
お父様のカーポート、ご主人のフェンス、そして私達の庭。
全ての想いが詰まったこの「隠れ家」で、豊かな時間をお過ごしください。
