優しいアールが包む庭。
子供が駆ける芝生と、大人が愛でる和の景色
「広いのに、狭く感じる」を解決する。
太田市N様邸。家庭菜園や果樹を楽しむ素敵なお庭ですが、いくつかの課題がありました。一つは「表土」。石が混じり、お子様が走り回るには少々危険な状態。もう一つは「勾配」。宅盤が高いため道路に向かって前下がりになり、実際よりも狭く、デッドスペースが生まれていました。
私たちの提案は、大胆な造成による「フラット化」と、直線で区切らない「アール(曲線)デザイン」。
安全性を確保しつつ、空間に広がりを持たせ、和室からは風情ある景色を楽しめるよう設計しました。
石混じりの表土。このままでは子供が安心して遊べない。
勾配があるため、視覚的に狭く感じてしまう現状。
ポテンシャルは高い。ここを機能的な楽園に変える。
1. 境界と骨格:色選びで変わる「庭の空気」
まずは境界ブロックの施工から。使用したのはマチダの「SPリブロラグゼ」。フェンスは三協立山の「マイリッシュ」。当初はダーク系を提案していましたが、お客様との対話の中で「ナチュラルカラー」へ変更。結果、これが庭全体を柔らかく包み込む最良の選択となりました。
境界を確定させる。庭づくりの第一歩。
ナチュラルカラーのフェンスが、圧迫感を消してくれる。
2. 大地を造る:良質土で「平ら」にする魔法
庭を広く見せる一番の近道は「平らにすること」です。石混じりの土の上に良質な土を搬入し、不陸を整えます。勾配が消え、フラットになった瞬間、庭は本来の広さを取り戻しました。
トラックで良質な土を運び込む。
平らになっただけで、見違えるような広さに。
3. 奥から攻める:和室前の「隠れ家」づくり
造園には手順があります。手前を作ってしまえば、奥へ重機が入らなくなる。だからこそ、最深部の「和室前」から仕上げていきます。ここはご主人のこだわりの場所。地窓から切り取られる景色を計算し、鳥海石と水鉢を据えます。
出番を待つ植木たち。
秋田の名石「鳥海石」。苔の乗りが良い石です。
退路を断たぬよう、奥から確実に仕上げていく。
地窓からのアングルを確認しながら石を据える。
御影石の水鉢に、枝垂れモミジを添えて。
4. アール(曲線)の魔法:レンガで描く優しさ
主庭のデザインコードは「アール」。直線で区切るとどうしても硬くなりますが、レンガで緩やかな曲線を描くことで、空間に広がりと優しさが生まれます。芝生の色に馴染むレンガを選び、職人が一つひとつ並べていきます。
いよいよメインガーデンの造作へ。
芝生の緑と相性の良い、暖色系のレンガ。
フリーハンドで描くような、優しい曲線。
デッキの直線と、レンガの曲線の対比。
入り口も柔らかく迎え入れるデザインに。
5. 機能性の追求:菜園と防犯
「遊ぶ庭」と「育てる庭」を分けるため、広い菜園スペースは枕木でしっかりとゾーニング。また、和室の地窓付近には防草シート「ザバーン」を敷き、その上に砂利を施工。歩くと「ザクザク」と音が鳴るため、高い防犯効果を発揮します。
枕木で区切ることで、菜園の手入れもしやすくなる。
音が出る砂利は、最高のセキュリティ。
6. 仕上げ:芝生とロックガーデン風の植栽
仕上げは芝張り。そして手前部分には、ブロックで壁を作るのではなく、自然石を組んで土留めとし、下草を植栽。「ロックガーデン風」に見せることで、圧迫感を消し、ナチュラルな雰囲気にまとめ上げました。
緑の絨毯を敷き詰める最終工程。
コンクリートではなく、石で止める美学。
石の隙間に緑を差し込み、ロックガーデン風に。
レンガのラインが庭全体を包み込む。
細かい部分まで丁寧に整える。
完 成:安心と美しさが共存する庭
手前はナチュラルな石と緑で迎え、奥には広々とした芝生。
そして地窓からは静寂の和庭。
家族の気配を感じながら、それぞれの時間を楽しめる空間が完成しました。
ブロックで仕切らないことで、開放感が生まれる。
手前の石組みが、奥への視線を誘導する。
季節ごとに表情を変える草花たち。
この曲線こそが、空間を広く見せるマジック。
お子さんが安心して走り回れる、自慢の芝庭。
地窓の高さにピタリと合わせた和の景色。
正面からは中が見えるが...
歩く角度(斜め)からは全く見えない。
群馬の強風にも耐え、防犯性も確保する「縦スリット」の妙。
来客時には花を浮かべて。小さなおもてなし。
N様、この度は大切なお庭づくりをお任せいただき
本当にありがとうございました。
これからお子様の成長と共に、この庭も美しく育っていくことを願っております。
