温もり感じる「雑木の庭」。
38枚の写真が語る、立体造園の極意
制約こそが、デザインの母体となる。
館林市M様邸。ガルバリウム鋼板のシックな建物が印象的な現場です。しかし、そこには大きな課題がありました。「駐車スペース」「アプローチ」「目隠し」「景観」。この4つの要望を、限られた距離の中で破綻なく収めなければなりません。
さらに立ちはだかるのは、道路と玄関ポーチの間の「50cmの高低差」。
これを「障害」と捉えるか、「舞台装置」と捉えるか。職人の真価が問われる挑戦が始まります。
シックな外壁。ここに「緑」が入ることで、建物は完成する。
短い距離に4つの要素を詰め込む。ミリ単位の設計勝負。
この50cmの高低差。埋めるのではなく、活かして立体感を出す。
1. 基礎を守る:見えない部分への投資
駐車スペースを確保するために地盤を掘り下げます。ここで最も重要なのは「境界ブロックの基礎補強」。後から見えなくなる部分ですが、ここを疎かにすれば未来の安全はありません。
掘り下げる分、既存の基礎が露出する。ここが正念場。
鉄筋を増やして補強。心配の種は、最初にすべて摘み取る。
2. 骨格を組む:石と植栽の同時進行
記念すべき一石目。狭い空間では、石組みと植栽を別々に考えることはできません。石を据えながら、同時に木の根を収めていく。互いが干渉しないよう、絶妙なバランスで組み上げます。
最初の一石。ここから全ての風景が広がる。
石の「顔」を見極め、土留めとしての機能と美を両立させる。
石を組みつつ木を植える。同時進行でなければ出せない一体感。
駐車スペースとアプローチ。ギリギリの寸法設計での攻防。
5月だというのにこの暑さ。館林の洗礼を受けながらの水やり。
3. 硬と柔の融合:御影石と枕木のステップ
アプローチのステップには、硬質な「御影石」と、温かみのある高耐久枕木「ブラックバット」を組み合わせました。シロアリに強く、独特のアンティーク感を持つブラックバットが、御影石の冷たさを中和し、上質な階段を演出します。
踏み面は石、蹴上げは木。異素材のコントラスト。
門柱にも同素材のブラックバットを。この古木感がたまらない。
無理なく上がれるよう、段数を増やして優しく設計。
手前は駐車場、奥は土留め。空間を無駄なく使い切る。
ビシッと決まった階段。ここに緑が入る瞬間が待ち遠しい。
4. 命を吹き込む:植栽の仕上げ
構造物ができたら、いよいよ仕上げの植栽です。選りすぐりの樹木たちを、計算された位置へ配置していきます。
出番を待つ植木たち。どれも表情の良い役者揃い。
バランスを見ながら配置。空間に「息吹」が宿る瞬間。
5. 視線を操る:イペの角柱スクリーン
リビングの目隠しには、ウッドデッキ材の王様「イペ」の角柱を使用。壁で塞ぐのではなく、列柱にすることで「抜け感」を残しつつ、斜めからの視線をカット。これが狭さを感じさせないプロの技です。
最強の天然木イペ。ノーメンテナンスで腐らない本物の木。
必要な視線だけを遮る。植栽の背景としても美しく機能する。
木々の緑が映える、最高のキャンバスとなった。
機能性も確保。三協製のセキュリティポストを装備。
6. 足元の美学:砂利と土間コンクリート
庭の仕上げは砂利敷きと下草で。そして駐車スペースは鉄筋を組み、最強の土間コンクリートで仕上げます。
完璧なアプローチ。ここを歩くのが毎日の楽しみに。
庭内部も砂利で化粧。管理のしやすさも考慮。
季節を感じる草花。一年中楽しめる庭へ。
駐車場も最終工程。鉄筋を流し、生コンを待つ。
スーパー左官職人の技。鏡のように美しい土間が完成。
完 成:町並みを変える「外に開く庭」
50cmの高低差は、いまや美しい立体感へと変わりました。
道行く人が足を止め、「いいお庭ですね」と声をかけてくれる。
それこそが、私たちが目指した「町並みまで良くする庭」です。
館林の猛暑を忘れさせる、涼やかな木陰と風の道。
重厚さと温もりが同居する、唯一無二のステップ。
お客様のその一言が、職人にとって最高の褒め言葉です。
イペの列柱が奥行きを強調。狭さを感じさせないマジック。
ヒイラギナンテン。「難を転ずる」縁起物を入り口に。
自然に包まれたプライベート空間。ここでのBBQは最高!
ジューンベリーの実。ジャム作りも暮らしの楽しみに。
高低差があるからこそ、庭は広く見える。
更紗ドウダン、クリスマスローズ。足元にも発見がいっぱい。
石と花。無骨さと可憐さの対比。
建物の隅々まで緑を届ける。
通る人が楽しめる庭。それが地域への貢献になる。
M様、本当にありがとうございました。これからは四季を存分に楽しんでください!
